モンスターペイシェントと向き合う

社会生活において非常識なふるまいを繰り返したり、土下座などの過剰ともいえるお詫びを強要したり、はては暴力までふるう人たち。医療の現場でも例外ではなく、それらの患者はモンスターペイシェントと呼ばれます。診察時間外で急患でもないのに診察を求める、余分な薬を欲しがる、予約を直前に何度もキャンセルするなど外来患者にもモンスターペイシェントは多いのですが、深刻なのは入院患者である場合です。
病気や怪我など普段とは違う状況に置かれ、さらに自宅ではない慣れない場所で過ごさなければいけないために、入院患者にはストレスが溜まりがちなことを理解することは大切です。入院することで普段よりわがままやクレームを入れることが増えるのでしょうが、それでも社会規範と照らし合わせてあからさまにおかしいことはきっぱりと断る勇気を持つことは大切です。また、そうしないとモンスターペイシェントがさらにわがままやクレームを増幅させてしまい、周囲の入院患者にまで被害が及ぶことも十分に考えられます。そんな中、もし暴言や暴力があった場合は1人で抱え込まずに、職員みんなで共有することやカルテなどに後々の証拠となるように書きこんでおくことが重要になってきます。
一般的に見舞ってくれる人が少ない入院患者ほど、モンスターペイシェントになる確率が高いといわれているようです。寂しさや不安を解消する方法が、暴力的な方へと向いてしまっている人は少なくありません。難しいことではあるでしょうが、優しい言葉をかけ続ける、笑顔を絶やさないといったコミュニケーションを図ることで、相手の心を和らげ事態の改善につなげられることもあります。